KOHEI NAWA

Throne

グローバリゼーションが広がる現代では、多様性が社会の変化と発展に不可欠な要素となり、 曾ての王権や王政のように多くの人々がひとつの絶対的な価値や原理に染まることは稀になった。しかし、コンピュータや人工知能が加速度的に進化を遂げ、絶対的な知性を誇るようになる時、 私たちの社会全体、ひいては国家さえも、それに盲従してしまうのではないか。そのような予感を浮遊する空位の玉座(throne)として表現した。ピラミッドがそうであるように、古代から連綿と続く「権力」や「権威」が遺してきたものは 一体何か。そして、未来はどうなるのか。東洋の神事・祭事に登場する「山車」や「御輿」などの 造形を参照しつつ、最新の3D造形システムと紀元前にエジプトで始まったと言われる金箔貼りの技法を融合させて彫刻化した。正面中央部には2~3 歳の子供がやっと座れるほどのスペースが設けられ、新しい知性はまだ幼い状態であることが示唆される。また、前面と背面の中央にはそれぞれひとつずつ、鏡面状に輝く球体が配されている。このプラチナ箔製の球体は「世界を見据える目」であり、正面は現在や未来を、背面は過去を見据えている。これはイオ・ミン・ペイ氏設計のピラミッドとルーブル美術館の建築にも関係している。

Throne (a_boy)

2011
Mixed media
3000 × 905 × 1453 mm

Throne (g/p_boy)

2011
Mixed media
3000 × 905 × 1453 mm

Throne

2018
Mixed media
10400 × 4800 × 3300 mm
Installation view, “Japonismes 2018: les âmes en resonance,” Musée du Louvre, Paris, France
©Pyramide du Louvre