Esquisse
大学院在学時に制作されたドローイングシリーズ《Esquisse》には、現象とマテリアルの関係を模索した多様な足跡が現れています。神経の情報伝達を担うシナプス、微生物や細菌のコロニーを思わせるイメージ群は、名和の中心的な制作概念であるセル(細胞)に結びつき、ユポ紙や半紙など異なる支持体の上に付着し、ときに染み込み、滲む水彩の広がりをとどめています。それは彫刻を構成する最小単位となるフォームとその物質的な運動法則を見出し、ミクロな考察が宇宙的なイメージをまとう思索の過程でもあります。